「古くなった離れだけを取り壊したい」「増築した部分が使いにくいので元に戻したい」
こうした部分解体のニーズは少なくありません。しかし、すべての離れや増築部分が単独で解体できるわけではないのが実情です。
部分解体の可否を左右する最大のポイントは、既存建物と増築部分が「構造上つながっているかどうか」。見た目では分離しているように見えても、構造的には一体となっているケースもあり、専門的な判断が必要になります。
この記事では、部分解体できる場合とできない場合の違いを、構造の観点から分かりやすく解説します。
もくじ
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判断基準は「構造的に一体か、分離か」
部分解体が可能かどうかは、増築部分と既存部分の構造上のつながり方によって大きく変わります。
一般的に、以下の要素が判断の軸となります。
- 基礎:独立した基礎か、既存部と連続しているか
- 柱・梁:増築部と既存部で別々の構造体か、共有しているか
- 耐力壁やブレース:構造を支える壁や筋交いが連続しているか
- エキスパンションジョイント:建物を構造的に分離する継ぎ目があるか
これらが独立している場合は「構造上分離」、共有・連続している場合は「構造上一体」と判断されます。
外観上は別棟に見えても、基礎が一体だったり、屋根や壁でつながっていたりすると、構造的には一体とみなされることも珍しくありません。
部分解体できるケース・できないケース
部分解体が可能なケース
構造上分離している離れや増築部分であれば、部分解体が比較的スムーズに進められます。
具体的には、以下のような条件を満たす場合です。
- 基礎が完全に独立している
- 柱・梁などの主要構造部が既存部分と共有していない
- エキスパンションジョイントで明確に分離されている
こうした場合、増築部分のみを解体しても既存部分の構造に影響を与えにくいため、安全性や法令上のリスクが低くなります。
ただし、解体後には配管の処理や外壁の補修、雨仕舞い(雨水の侵入防止)といった復旧工事が必要になることは押さえておきましょう。
部分解体が困難なケース
一方、構造上一体となっている増築部分を解体するのは、大きなリスクを伴います。
- 耐力壁やブレースを共有している
- 基礎が一体で、切断すると全体の支持力が低下する
- 既存部分の構造計算に増築部分が組み込まれている
このような場合、増築部分を解体すると既存部分の耐震性が低下したり、建築基準法上の適法性に問題が生じたりする可能性があります。
さらに、既存不適格建築物(建築当時は適法だったが現行法に適合しない建物)の場合、部分解体をきっかけに建物全体を現行法に適合させる必要が出てくることもあります。
こうしたケースでは、構造設計者による耐震診断や補強設計が必要となり、費用・工期ともに大幅に増加する傾向があります。
部分解体を進める前に確認すべきこと
図面と現地調査が必須
構造のつながりは、外観だけでは判断できません。
建築時の図面を確認し、必要に応じて現地調査を行うことで、初めて正確な判断が可能になります。図面がない場合は、構造の専門家に相談することが重要です。
法令上の手続き
部分解体でも、規模や内容によっては以下のような手続きが必要になります。
- 確認申請:大規模な減築に該当する場合
- 建設リサイクル法の届出:延床面積80㎡超の解体工事
- アスベスト事前調査:一定規模以上の解体
自治体への事前相談を行い、必要な手続きを確実に進めましょう。
費用は割高になる傾向
部分解体は、全体解体に比べて単価が高くなりやすいのが特徴です。
理由としては、残す部分への養生や仮設補強、手作業の増加、廃棄物の分別作業などが挙げられます。さらに、解体後の補強・復旧費用も別途必要になるケースがほとんどです。
見積もり時には、解体範囲・復旧範囲・追加費用の条件を明確にしておくことが、後々のトラブル防止につながります。
業者選びのポイント
部分解体では、法令遵守はもちろん、構造に関する知識や判断能力を持つ業者を選ぶことが重要です。
建設業許可の有無、過去の部分解体実績、構造設計者との連携体制などを確認し、信頼できる業者に依頼しましょう。
まとめ:構造の確認が第一歩
離れや増築部分の部分解体が可能かどうかは、構造上のつながりによって決まります。
構造的に分離していれば比較的スムーズに進められる一方、一体となっている場合は慎重な判断と専門的な対応が必要です。
まずは図面の確認と現地調査を行い、必要に応じて構造の専門家や信頼できる解体業者に相談することが、安全で確実な部分解体への第一歩となります。

