解体工事のうち、指定地域内で行う特定建設作業には、敷地境界で85dBを超えないという騒音基準があります。ただし、建物を壊す工事すべてに一律で適用される数字ではありません。
作業時間は区域により、第1号区域が7時〜19時、第2号区域が6時〜22時です。これは作業できる時間の枠であり、1日の上限はそれぞれ10時間・14時間と別に定められています。
着工前に行うことは、元請業者へ区域、使用機械、届出、実作業時間を確認することです。区域指定や条例が分からなければ、工事場所の市区町村に確認します。
すでに苦情を受けている場合は、反論より先に、時刻・場所・音が大きかった工程を記録してください。元請業者へすぐ共有し、現地確認と作業方法・時間の調整につなげます。
解体工事の騒音は85dBまで?まず数字の条件を確認
環境省の基準では、特定建設作業の騒音は作業場所の敷地境界で85dBを超えないこととされています。測る場所は重機のすぐ横でも、隣家の室内でもない点が重要です。
区域別の主な基準は次のとおりです。第1号・第2号のどちらに当たるかは、用途地域の呼び方だけで決めず、自治体の区域指定で確認してください。
| 基準項目 | 第1号区域 | 第2号区域 |
|---|---|---|
| 騒音 | 敷地境界で85dBを超えない | 敷地境界で85dBを超えない |
| 作業時間帯 | 7時〜19時 | 6時〜22時 |
| 1日の作業時間 | 10時間以内 | 14時間以内 |
| 連続日数 | 6日以内 | 6日以内 |
| 作業日 | 日曜その他の休日を除く | 日曜その他の休日を除く |
災害や生命・身体の危険防止などには例外があります。また、自治体の条例や現場条件で、より細かな手続き・配慮が求められる場合があります。

表の時間帯は、音の大きい作業をその枠いっぱい続けてよいという意味ではありません。現場の実作業時間や休止時間は、工程と周辺環境を踏まえて元請業者が調整します。
85dBが適用されるのは指定地域内の特定建設作業
工事名ではなく使用機械・工法で対象を確認する
騒音規制法は、建設工事のうち著しい騒音を発生するものとして、政令で定める特定建設作業を対象にしています。工事名だけで判断はできません。
対象には、さく岩機を使う作業や、一定の出力以上のバックホウ等を使う作業があります。低騒音型として指定された機械の扱いなど条件があるため、機械名・型式・出力を元請業者へ確認します。
区域指定と条例は工事場所の自治体で確認する
騒音規制法による建設作業の規制は、都道府県知事等が指定した地域で運用されます。自治体は区域図、対象作業、届出様式、相談窓口を案内していることがあります。
- 用途地域の名称だけで第1号・第2号区域を自己判断せず、自治体の区域図で確認する
- 小規模な解体でも、使用機械・工法が特定建設作業に当たるか元請業者へ確認する
- 法律の基準だけでなく、自治体条例や近隣協定、道路使用条件も確認する
不明点を市区町村へ聞くときは、工事場所、工期、使用機械、作業時間が分かる工程表を用意すると確認が進みやすくなります。窓口名は公害・環境・生活環境など自治体で異なります。
着工前に元請業者へ確認する6項目
特定建設作業の届出は、指定地域内で対象作業を行う場合に、元請負人が作業開始7日前までに市町村長へ届け出るのが基本です。施主は元請業者に、届出日・提出先・受付状況を書面で見せてもらいましょう。
- 工事場所が騒音規制法の指定地域か、第1号・第2号のどちらか
- 騒音の大きい工程で使う機械の名称・型式・出力と、低騒音型の採用有無
- 特定建設作業への該当判断と、届出日・提出先・受付状況
- 着工日、工期、音が大きい工程の日、実際の開始・終了予定時刻
- 防音・防振養生、散水、機械配置、作業順など現場で行う対策
- 近隣から連絡があったときの元請担当者、連絡方法、現地確認の手順

口頭説明だけで終わらせず、工程表、届出控えや受付情報、近隣案内文を同じ場所に保管します。工事内容が変わったときは、時間や使用機械の変更も確認してください。
届出の対象外であっても、近隣への騒音配慮が不要になるわけではありません。現場条件に合う作業時間と対策を、契約書・見積書・工程表で確認することが大切です。
近隣説明は法定時間だけでなく実作業時間を伝える
音が大きい工程と実作業時間を具体的に伝える
近隣案内には、工期全体だけでなく、重機作業や基礎撤去など音が大きくなりやすい日を入れます。実際の開始・終了予定時刻、休止予定、元請の連絡先も伝えます。
法令上の枠が7時〜19時でも、「毎日19時まで大きな音が続く」と受け取られる説明は避けます。現場で予定する時間を示し、変更時の連絡方法まで決めてください。
防音・散水・低騒音型機械は組み合わせで確認する
防音シートや養生は、音の広がりや粉じんを抑えるための対策ですが、騒音や振動を完全になくすものではありません。破損や隙間がないか、作業中も点検する運用が必要です。
機械の配置、作業順、低騒音型機械、アイドリング抑制、散水などは役割が異なります。元請業者へ「何を使うか」だけでなく、「いつ、どこで、誰が確認するか」まで聞きます。
隣家の外壁、塀、土間などに既存のひびがある場合は、立ち入り許可を得た範囲で工事前の状態を写真に残します。工事後も同じ位置・向きで確認できるよう整理してください。
騒音クレームが来たときの対応順
苦情を受けたときに「基準内です」と先に反論すると、相手が困っている時間・場所・工程を把握できません。まず事実を記録し、元請業者が現場を確認できる状態を作ります。
連絡を受けた時刻、音が気になった場所、続いた時間、振動・粉じんの有無、相手の希望をそのまま控えます。
その時間に行っていた工程、使用機械、測定記録の有無を確認します。危険や異常が疑われる場合は、元請の判断で作業を止めて現場を確認します。
養生の外れ、機械配置、作業方法、道路上の車両待機などを確認します。損傷の申し出がある場合は、工事前写真と現在の状態を比較します。
作業時間、機械配置、工法、養生、休止時間の変更可否を整理します。再開・継続の予定と、誰がいつ相手へ連絡するかを決めます。
区域や届出、基準の扱いに疑問がある場合は、市区町村の公害・環境担当窓口へ工程表を持って確認します。損傷や賠償の争いになった場合は、記録を保全したうえで法律の専門家へ相談します。
騒音の数字と確認先をそろえてから着工する
解体工事の騒音は、特定建設作業に該当するとき、敷地境界で85dBを超えないことが基準です。区域別の時間帯、1日の上限、休日も、工事場所の指定と合わせて確認します。
施主が着工前にそろえるのは、区域、使用機械、届出、工程・時間、対策、連絡窓口です。法令の数字と現場の運用を分けて書面化すると、説明の食い違いを減らせます。
苦情が来たときは、記録して元請へ共有し、現地確認と工程調整へ進みます。契約先だけで判断できない区域・条例・届出は、市区町村の担当窓口へ確認してから工事を進めてください。

