【トラブル】店舗の内装解体(原状回復)で失敗しない「工事範囲」の決め方

店舗を退去する際、内装解体や原状回復の工事範囲が曖昧なまま進めてしまい、思わぬ追加費用を請求されるケースは少なくありません。

「どこまで壊すのか」「何を残していいのか」という判断を誤ると、貸主とのトラブルや予算オーバーに直結します。

この記事では、店舗の内装解体・原状回復で失敗しないための工事範囲の決め方と、追加費用を防ぐ確認項目を解説します。

はじめに知っておきたい|原状回復の種類と工事区分

店舗の原状回復は、契約で定めた状態へ戻す工事を指します。ただし、その範囲は大きく3つに分かれます。

内装解体は、造作や設備を撤去する工事が中心です。床・壁・天井の一部は残すケースもあります。

スケルトン工事は、躯体(構造体)だけを残し、内装をすべて撤去する工事です。通常の原状回復より範囲が広く、費用も高額になります。

原状回復は、契約書で指定された状態への復旧を意味し、物件ごとに範囲が異なります。

さらに、ビルの工事にはA工事・B工事・C工事という区分があります。

  • A工事:ビル側が費用負担・業者指定
  • B工事:借主が費用負担・ビルが業者指定
  • C工事:借主が費用負担・業者選定も自由

この区分を確認せずに工事を進めると、負担範囲を誤認し、不要な費用を支払う可能性があります。

工事範囲を正確に決める3ステップ

ステップ1:賃貸借契約と入居時図面を確認する

工事範囲決定の出発点は、賃貸借契約書入居時の工事図面です。

契約書で確認すべきは、「原状回復」「造作買取」「スケルトン返し」といった条文です。ここに記載された内容が、工事範囲の基準となります。

入居時の図面があれば、どこまで造作したのか、どの設備を追加したのかが明確になり、撤去範囲の判断材料になります。

契約書だけでは不明確な場合は、管理会社への確認が必要です。

ステップ2:貸主・管理会社と撤去範囲を事前合意する

契約書を確認したら、撤去範囲と残置物について貸主や管理会社と事前に協議し、合意内容を書面化しましょう。

「これは撤去する」「これは残していい」という認識のズレが、追加工事や追加請求の主な原因です。

口頭での合意だけでは、後日のトラブル時に証拠性が弱くなります。メールや覚書など、記録が残る形で確認するのが安全です。

ステップ3:専門業者に現地調査を依頼し相見積を取る

事前合意ができたら、解体業者に現地調査を依頼します。

飲食店の場合、排気ダクト・グリストラップ・給排水設備など、図面だけでは分からない現況確認が必要です。

また、複数の業者から見積を取ることで、工事範囲の過不足と相場感を把握できます。

見積項目が「一式」表記ばかりの業者は、範囲が不明確になりやすいため注意しましょう。

トラブルを防ぐ確認ポイント

店舗タイプ別に範囲と費用相場が変わる

飲食店は、排気ダクト・グリストラップ・厨房設備など撤去対象が多く、油汚れや臭いへの対応も必要なため、解体・原状回復の範囲と費用が高くなりやすい傾向があります。

一方、物販店やサービス店は、間仕切り・什器・床仕上げの復旧が中心で、設備撤去が少ないため比較的範囲は限定的です。

ただし、床・天井をスケルトン化するかどうかで費用差が大きくなります。

坪単価の目安を知っておく

工事費用の目安として、一般的に以下の坪単価が示されています。

工事種別坪単価の目安
内装解体約1.5万〜4万円
原状回復約1.5万〜2.5万円
スケルトン工事約3万〜5万円

ただし、立地・階数・造作量・アスベストの有無などで大きく変動します。あくまで参考値として捉えましょう。

追加費用が発生する典型パターン

費用トラブルの主な原因は、工事範囲の曖昧さ相場を知らないことです。

指定業者の高額見積や、立会い後の追加請求といった事例が報告されています。

これを防ぐには、事前の範囲合意と複数見積の比較が有効です。

また、アスベスト含有建材がある場合、事前調査・除去義務があり、工事範囲と費用に大きく影響します。築年数が古い物件では特に注意が必要です。

工期とスケジュールの逆算管理

数十坪規模の店舗で、工事期間は数日〜1〜2週間が目安です。

ただし、ビルの承認工程や立会い日程の調整を含めると、さらに時間がかかります。

退去日から逆算して、余裕を持ったスケジュール管理を心がけましょう。工事可能時間帯に制限がある物件では、工期が延びる可能性もあります。

まとめ:範囲の明確化が最大のトラブル予防策

店舗の内装解体・原状回復で失敗しないためには、工事範囲を明確にすることが最も重要です。

契約書と図面の確認、貸主との事前合意、専門業者の現地調査という3ステップを踏むことで、認識のズレを防ぎ、追加費用のリスクを大幅に抑えられます。

工事範囲の曖昧さは、過剰請求や引渡遅延といったトラブルの原因になります。

費用とリスクのバランスを考えながら、書面での記録を残し、余裕を持ったスケジュールで進めることが、円滑な退去への近道です。