建物の解体工事は、業者に任せれば勝手に進むと思われがちですが、実際には施主自身が確認・対応すべき工程が数多く存在します。
費用相場は建物の構造によって大きく異なり、木造で坪単価3~5万円、鉄骨で4~6万円、RC造(鉄筋コンクリート)で6~8万円が目安です。
この記事では、業者選定から整地完了までの全工程を順を追って解説し、各段階で押さえるべきポイントを明確にします。
解体工事の流れはどう進む?7つの工程を理解しよう
解体工事は単に建物を壊すだけではなく、業者選定→見積取得→契約→行政届出→養生・解体→整地→滅失登記という流れで進みます。
この一連のプロセスには、施主自身が対応しなければならない手続きと、業者に任せる作業が混在しています。
特に重要なのが、80㎡以上の建物を解体する場合は工事着手の7日前までに建設リサイクル法に基づく届出が必要という点です。届出義務者は施主本人であり、この手続きを怠ると法令違反となります。
また、2023年10月の法改正により、すべての建築物でアスベストの事前調査と報告が義務化されました。この調査は有資格者のみが実施できるため、業者選定時に対応可能かを確認する必要があります。
工期については、30坪程度の木造住宅で7~10日が一般的です。ただし、付帯工事の有無や地中の埋設物発見、天候により延長する可能性があります。
見積もりで確認すべき費用内訳は?追加費用を防ぐチェックポイント
見積書の取得は、複数社から現地調査付きで取ることが基本です。
現地を確認せずに出された概算見積では、後から追加費用が発生するリスクが高まります。
解体費用の内訳は、本体工事費・廃棄物処理費・人件費で構成されますが、注意すべきは付帯工事費が総額の2~3割を占めるケースがあることです。
残置物の撤去、庭石や塀の撤去、井戸の埋め戻しなどは別途料金となる場合が多く、事前確認が不十分だと想定外の出費につながります。
見積書で特に確認すべき項目は以下の通りです。
- 内訳が「一式」表記ではなく、数量と単価が明記されているか
- 税込・税抜の区別が明確か
- 条件付き項目(「○○が発生した場合は別途」など)の有無
最も注意すべきは、アスベストや地中埋設物の発見時に発生する追加費用です。
これらは見積時点で完全には把握できないため、発見時の対応について契約前に取り決めておくことが重要です。
なお、自治体によっては空き家解体に対する補助金制度があり、30~100万円程度、補助率1/2~8/10で支援を受けられる場合があります。ただし、解体前の申請が条件となるケースが多いため、早めの確認が必要です。
工事前に施主が対応すべき手続きとは?届出と近隣説明の重要性
解体工事の流れにおいて、施主の責任で行うべき手続きが複数あります。
前述の建設リサイクル法届出に加え、近隣への事前説明も欠かせません。
事前説明不足は工事中のトラブル原因となり、騒音・振動・粉塵に関する苦情により工期が遅延する事例が多数報告されています。
一般的には、工事開始の1~2週間前に、文書と対面での説明を組み合わせて行うのが標準です。説明範囲は最低でも隣接地と道路を挟んだ向かい側を含めます。
また、業者選定時には必ず建設業許可または解体工事業登録の有無を確認してください。
工事金額が500万円未満でも登録は必須であり、無許可業者への依頼は施主側もリスクを負うことになります。
契約書には建設業法で定められた14項目の記載が必要です。契約書なしでの工事着手は違法リスクがあるため、必ず書面での契約を行いましょう。
養生から整地まで|実際の工事で施主が確認すべきこと
解体工事の実施段階では、養生・足場設置→分別解体→重機解体→廃材処理→整地という流れで進みます。
養生とは、シートや防音パネルで建物を覆い、粉塵の飛散や騒音を防ぐ作業のことです。この費用が見積に含まれているかを事前に確認しておく必要があります。
次に行われる分別解体は、建設リサイクル法により手作業での分別が義務付けられているため、工期に影響を与える要因となります。
廃材処理では、マニフェスト(産業廃棄物管理票)の確認が施主の責任です。
マニフェストとは、廃棄物がどこでどのように処理されたかを記録する伝票のことで、不法投棄を防止するための制度です。業者から受け取った伝票を保管する義務があり、この確認を怠ると、万が一不法投棄が発覚した際に施主も責任を問われる可能性があります。
整地は解体後の標準工程であり、一般的には現状土での整地が含まれます。
ただし、アスファルト舗装や砕石敷設は別途費用となるケースが多いため、必要な場合は事前に見積に含めてもらいましょう。
工事完了後、施主は滅失登記を申請する法的義務があります。
滅失登記とは、建物が取り壊されたことを法務局に届け出る手続きです。この手続きを怠ると、建物が存在しないにもかかわらず固定資産税の課税が継続するため、速やかに対応が必要です。
まとめ:解体工事の流れを理解し、各工程で確実な確認を
解体工事は業者任せにできる工程と、施主が主体的に対応すべき工程が明確に分かれています。
費用面では、構造別の相場を把握した上で、複数社から現地調査付きの見積を取得し、内訳と条件を細かく確認することが追加費用を防ぐ鍵となります。
手続き面では、80㎡以上の建物に関する建設リサイクル法届出、アスベスト事前調査、近隣説明が施主の責任範囲です。
工事中は養生や分別解体の実施状況を確認し、廃材処理のマニフェストを必ず受け取りましょう。
整地完了後の滅失登記まで含めて、解体工事の全工程と理解することが、トラブルのない解体工事を実現する基本となります。

