解体工事を依頼する際、多くの方が見積もり金額には注意を払います。
しかし、工期が予想以上に長引くリスクについては見落としがちです。「標準的な工期は10日程度」という説明を受けても、実際には2週間、3週間と延びてしまうケースは珍しくありません。
特に土地売却を控えている場合、工期の遅れは契約解除といった深刻な事態を招くこともあります。
この記事では、解体工事の工期が長引く条件について、見積段階では見えにくい「落とし穴」を中心に解説します。
もくじ
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まず押さえたい!解体工期の基本目安
解体工期を正しく判断するには、構造別の標準日数を知っておく必要があります。
一般的に、木造住宅(30~40坪)で7~10日、鉄骨造で10~14日、RC造(鉄筋コンクリート造)で2~3週間以上が目安とされています。
ただし、これらはあくまで「理想的な条件」での日数です。搬入路が確保され、残置物がなく、天候にも恵まれた場合の話であり、実際の現場ではさまざまな要因が重なって工期が延びるケースが大半といえます。
さらに、実際の工事日数だけでなく、法律で定められた待機期間(最低7日間)や残置物の処分準備(約2週間)なども必要になるため、全体のスケジュールは1~2ヶ月程度を見込んでおくべきでしょう。
搬入路が狭いと工期はどれだけ長引く?
解体工事の工期を大きく左右する条件の一つが搬入路の幅です。
重機が入れる道幅が確保できない場合、工期は通常の1.5~2倍以上に延びることも珍しくありません。具体的には、道幅が2メートル未満の場合、重機による効率的な解体ができず、手作業での解体が中心となります。
| 道幅の条件 | 作業方法 | 工期への影響 |
|---|---|---|
| 2m以上 | 重機使用可能 | 標準工期(10日程度) |
| 2m未満 | 手作業中心 | 1.5~2倍(15~20日以上) |
また、階段地や高低差のある敷地、電柱などの障害物がある場合も同様に、工期が長引く条件となります。
さらに、道路使用許可やガードマン(交通誘導員)の配置が必要になる立地では、これらの手続きや手配に時間がかかり、工事開始が遅れる要因にもなります。
見積もり時には必ず現地の搬入路を業者と一緒に確認し、重機が入れるかどうかを明確にしておきましょう。
残置物は施主責任!工期延長の最大要因
解体工事の工期が長引く条件として、多くの方が誤解しているのが残置物の扱いです。
家具や家電、古い設備などの生活用品は、法的には施主(依頼者)が処分する責任があります。これは環境省の通知でも明確に示されており、廃棄物処理法上、解体によって発生する「解体物」と生活で使用していた「残置物」は別扱いとなります。
残置物が残ったまま工事に入ると、業者はそれを避けながら作業を進めるか、追加費用を取って処分するかを施主に確認する必要があります。このやり取りだけで数日の遅延が発生し、処分費用も数万円から十数万円に及ぶことがあります。
工事開始後に残置物が見つかった場合、追加日数が確実に発生します。
見積段階で残置物の有無を正確に伝え、工事前に完全に撤去しておくことが、工期を予定通りに進める最も確実な方法です。
法律で固定される「7日間」の意味
解体工事には、施主や業者の努力だけでは短縮できない法定の待機期間があります。
床面積80㎡以上の建物を解体する場合、建設リサイクル法(建設資材のリサイクルを促進する法律)により、工事開始の7日前までに届出を行う義務があり、この期間は絶対に回避できません。
ほとんどの一般住宅がこの対象となるため、実質的にすべての解体工事で最低7日間の待機が発生します。
また、築年数が古い建物の場合、アスベストの事前調査と報告が義務化されており、有資格者による調査も必須となっています。アスベストが検出された場合は除去工程が追加されるため、さらに工期が延びる条件となります。
これらの法的手続きは業者責任ではなく法律で定められたものですが、手続きの遅延は工事開始の遅れに直結するため、業者選定後は速やかに準備を進める必要があります。
見積では見えない「地中埋設物」のリスク
解体工事の終盤になって工期が突然長引く条件として、最も予測が難しいのが地中埋設物の発見です。
古い浄化槽や井戸、過去の基礎杭などが地中に残っている場合、発見時点で工事は必ず中断します。
一般的に、浄化槽や井戸の撤去には10万円以上、過去の基礎杭などが見つかった場合は100万円を超える追加費用が発生した事例もあります。
しかし費用以上に問題となるのが、発見後の承諾プロセスによる工期延長です。業者からの報告、追加見積もりの提示、施主の承諾、実際の撤去作業というフローを経るため、数日から数週間の遅延が発生します。
特に土地売却を予定している場合、埋設物が未撤去のまま引き渡すと、後々のトラブルや契約不適合責任(契約内容と異なる状態で引き渡した場合の責任)を問われるリスクがあります。
見積段階で過去の建物履歴や敷地の使用状況を業者に詳しく伝えることで、ある程度のリスク予測が可能になります。
まとめ:工期が長引く条件は事前確認で回避できる
解体工事の工期が長引く主な条件は、搬入路の状況と残置物の有無です。
これらは見積段階で確認・対処できる要素であり、施主側の準備次第で工期を予定通りに進めることが可能です。
一方、法定の待機期間や地中埋設物、天候などは、完全には制御できない要因です。重要なのは、これらの落とし穴を事前に理解し、余裕を持ったスケジュールを組むことです。
特に土地売却など次の予定が控えている場合は、想定よりも2~3週間程度の余裕を見込んでおくと安心でしょう。業者との打ち合わせでは、搬入路の実地確認、残置物の処分計画、法的手続きのスケジュールを明確にしておくことをお勧めします。

